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SpaceXが開発を進めている「Dragon 2」有人宇宙船について、ロケットエンジンを利用した垂直着陸方式の採用を断念した可能性が強いことが、
19日に行われてたInternational Space Station Research and Development ConferenceでのElon Musk氏による発言で明らかとなった。

Elon Musk氏は19日に行われてた公演の中で「Dragon 2については垂直着陸方式を採用することを予定していたが、
有人宇宙船で垂直着陸方式を採用するには、安全性の確保の観点から多大な労力が必要なことが判り、この方式については採用を断念した」と語った。

SpaceXは、2018年か2020年にDragon 2(Red Dragon)を火星に向けて打ち上げ、地球用に開発を行った垂直着陸方式を利用して
火星に有人宇宙船本体を軟着陸させることも計画していたが、Dragon 2での垂直着陸方式採用断念を受けて、
火星への有人宇宙船軟着陸計画についても実施見送りとなった模様となる。

SpaceXは現在、運用を行っているISS補給用の無人版のDragon宇宙船では、アポロ有人宇宙船などと同じ、
パラシュートで減速を行い海上に着水させるという方式を採用しており、有人版のDragon 2に関しても
無人版のDragon宇宙船と同じ、パラシュート着水方式が採用される見通しとなったこととなる。

SpaceXは、火星植民地化計画の一環で、Interplanetary Transport Systemという大型旅客機並みの超大型有人宇宙船を打ち上げて、
火星へ着陸させることを予定していたが、Dragon 2での垂直着陸方式採用断念を受けて、Interplanetary Transport Systemに関しても
火星へ垂直着陸する方式の採用は見送りなった模様ともなる。

ただしSpaceXは火星植民地化計画そのものについては断念してはおらず、Interplanetary Transport Systemの新着陸方式については、
9月25〜26日の日程でオーストラリアで開催予定の International Astronautical Conference で改めて公表を行う予定となっている。

地球の場合は、大気圧が高いため、大気圏上層部では耐熱シールドで減速を行い、大気圏下部ではパラシュートによる減速が可能となる。
しかし、火星の場合、大気圧は低く、また引力は月などと比べると強いため、パラシュートによる減速も、
アポロ月着陸船で採用されたロケット噴射方式の減速も行うことは難しく、数十トン級の有人宇宙船を火星の大地に軟着陸させることは、
現在に至るまで理論的枠組みは十分に確立されていないのが現状となる。

SpaceXはこの問題を、Falcon9ロケットで実用化に成功したロケット噴射による精密姿勢制御方式で解決することを計画していた。

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