2022/08/13 12:00

スプラトゥーンシリーズは“イカ”にして遊びやすさを保ちながら進化したのか。「スプラトゥーン3」をより一層楽しむための短期連載:第2回

ライター:高橋祐介

 任天堂の「スプラトゥーン」シリーズ最新作となるSwitch用ソフト「スプラトゥーン3」を“より一層楽しむため”の短期連載企画。その第2回をお届けしよう。

 2回目のテーマは「スプラトゥーンシリーズは“イカ”にして遊びやすさを保ちながら進化したのか」。2015年5月に登場したシリーズ1作目のWii U用ソフト「スプラトゥーン」で生まれた新しい遊びが,2017年7月にSwitchでリリースされた第2作「スプラトゥーン2」ではどう変わったのか。本シリーズの魅力の一つである,世界観設定やストーリーの奥深さに触れられる部分も振り返りながらお伝えしたい。






遊びの基本は始めから完成していた「スプラトゥーン」

 初代「スプラトゥーン」の基本となる遊び方は,分かりやすさとシューターの奥深さを兼ね備えた「ナワバリバトル」だ。このナワバリバトルが,スプラトゥーン独自の面白さ,遊びやすさを持った“入りやすくて奥が深い”ゲーム設計だったことは,連載の第1回でお伝えしたとおり(記事リンク)だ。それをさらに詳しく,ゲームのシステム面にも触れながら迫りたい。

  4人対4人で3分間戦い,試合終了時のインクの面積で勝敗が決まるという基本ルールは,初代「スプラトゥーン」のナワバリバトルから変わらない。その第1作のナワバリバトルの特徴だったのが,実力差を覆す逆転要素。相手にブキを巧みに扱う凄腕のプレイヤーがいたとしても,試合のラストで塗り合いに持ち込めば勝負の行方が分からなくなる点だ。

 そんな「スプラトゥーン」の逆転劇で欠かせない要素となっていたのが,強烈な威力を持つスペシャルウェポンの数々だった。
 とくに「スーパーショット」は,リリース直後の性能がかなりのもので,その竜巻状のショットの乱れ撃ちで,複数の相手を一気に倒すことができるほど強力だった。あまりにも強すぎたためか,何度かのアップデートでの調整で段階的に控えめな性能になったが,それでもスーパーショットの存在感は大きく,初代「スプラトゥーン」を象徴すると言っても過言ではないほどのインパクトを放っていたのだ。

 数秒だけ無敵になり,相手が居座る重要地点を強気に奪いにいける「バリア」や「ダイオウイカ」,障害物を貫通しマップの端まで撃ち抜く一撃で,遠くから相手の陣形を崩せる「メガホンレーザー」なども,実力差を埋めてくれる強力なスペシャルウェポンだった。
 ほかにも,ボムを投げまくる「ボムラッシュ」,マップで指定したポイントにインクの渦を作る「トルネード」のように,広範囲を自チームのインクで染めて相手まで倒せるものもあり,僅差の試合ではこれらを使うタイミングで勝敗が決まることも多かった。

 「スペシャルウェポンを使うためには,ステージをインクで塗ってスペシャルゲージを溜める必要がある」という仕組みも,後半の一発逆転を生む要素となっていた。劣勢のチームは,新規で塗り広げられる場所が少ない優勢なチームに対して“塗れる範囲”が残っているため,相手に倒されずに慎重に塗り返すことができれば,チーム皆でゲージを溜めることができるわけである。

 こうしてメンバー全員がゲージを溜め,チームの1人が相手全員の位置をマーキングする「スーパーセンサー」を使い,そのサポートによってほかの仲間たちが確実にスペシャルウェポンを相手に決める。そんな終盤の一撃で,こういったシューターに不慣れなプレイヤーでも勝利の喜びを得ることができた。
 このように初代「スプラトゥーン」のナワバリバトルは,プレイヤーの実力でほぼ勝敗が決まるこれまでのシューターにはない勝負の駆け引きの楽しさがあり,それが新鮮だったのだ。

 初代「スプラトゥーン」からあるものと言えば,バトルに繰り返し挑んでランク10になると挑戦できるようになるモード「ガチマッチ」も忘れてはならない。

https://www.4gamer.net/games/553/G055390/20220802076/