■将棋マンガが同時に11本も連載されている「戦国時代」に

 将棋マンガ? 知ってるよ、『ハチワンダイバー』とか『月下の棋士』とかでしょう。でも、数は少ないよね……、というあなた。それが間違った認識です。実は現在は、空前の将棋マンガブーム。2018年11月現在、11本もの将棋マンガが同時に連載されているという、まさに将棋マンガ戦国時代なのです。

 もちろんこの背景には藤井聡太七段の快進撃、羽生善治永世七冠達成など将棋自体のブームがあることは確かです。しかし、そんなしのぎを削る勝負の世界、魅力ある棋士たちを描いたマンガだって面白い。今回は、ヘボ将棋指しではありますが、将棋マンガ研究家の筆者が、将棋マンガの世界と今お勧めの将棋マンガを紹介しましょう!
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■過去の作品数は150を超える

 主要登場人物が棋士、もしくは将棋指しで、将棋をテーマにした物語が進行していく話を「将棋マンガ」だとすると、その歴史はすでに50年以上。貸本時代からある伝統的なマンガジャンルでもあります。単行本にして80作以上、作品数でも150は超える、意外にメジャーなジャンルなんですよ。そんな将棋マンガの歴史を年表にしてみました。ね、こんなにあるんですよ(笑)。

 と言っても、すべてのマンガを紹介するわけにはいかないので、現在連載中の将棋マンガのなかで筆者が特にお勧めする作品をピックアップしてみました。

■将棋も、ご飯もお腹いっぱいに

 最初に紹介するのは、まさに新刊の4巻が出たばかりの将棋とグルメの融合、異色の、いや異食の将棋マンガ『将棋めし』(著:松本渚 発行:KADOKAWA)です。


『将棋めし』の主人公・峠なゆたは女性初のタイトルホルダーという設定。監修はA級在籍のトップ棋士・広瀬章人八段
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 このマンガを単にグルメマンガブームに便乗したマンガだと侮ってはいけません。このマンガには著者の将棋と食への愛が詰まっています。主人公の女性プロ棋士、峠なゆたは対局中のご飯、いわゆる将棋めしにも将棋同様常に真剣です。食が関わると実に人間というものは正直になり、そして欲張りになるものです。そんな棋士と食、峠なゆたを中心とする勝負を共にする仲間たちとの人間性あふれるやり取りが実に楽しい。

 著者が振り飛車党ゆえに出てくる作中のセリフ「飛車も振れない奴は男じゃない」など、作品と著者のこだわりなどが垣間見られるのも魅力のひとつでしょう。将棋も、ご飯もお腹いっぱいになろう!

■最初は特に将棋には興味を示さなかった母親が……

 将棋は勝負師の物語、と思われがちですが、その戦いを見守る立場の視点から描かれた将棋マンガもあります。『ひらけ駒!』(著:南Q太 発行:講談社)は、将棋に興味を持った息子を見守る母親視点で描かれた、今までにない風景の将棋マンガ。


最近、『ひらけ駒! Return』として連載が再開した
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 息子の観察日記的な非常にゆっくりとした日常マンガではありますが、注目点は息子ではなく母親。最初は特に将棋には興味を示さず、息子の将棋教室、大会などに付き添っていきますが、いつのまにか母親自身が将棋に関心を持ち始めていきます。

 イケメン棋士、美人女流棋士にときめいたり、竜王戦の優勝賞金の額を聞いて息子のプロ棋士姿を妄想したり、そんなリアルな母親視点描写がたまりません! ついには、母親自身も将棋を始めて、将棋ママ友と共に大会に参加までしちゃいます。母親世代に是非とも読んでもらいたい1冊です。

続きはソースで

http://bunshun.jp/articles/-/9780