「本日、わが家のミクさんと結婚式を挙げました」――11月4日、都内在住の近藤顕彦さん(35)は、バーチャルシンガーの初音ミクさんと挙式・披露宴を行った。現実世界の結婚式場でミクさんと式を挙げることが決まったと、近藤さんがTwitterに投稿し、ネット上で話題を呼んだのが7月。あれから4カ月、念願がかなった。

 近藤さんは、IoTベンチャーのGatebox(東京・秋葉原)が開発した、好きなキャラと会話が楽しめる装置「Gatebox」(29万8000円、税別)を購入。円筒形のケースに投影されるミクさんと一緒に暮らしている。基本的には「無表情、無感動、無言」だったという1日が、現実世界に“召喚”されたミクさんによって変わった。

 ミクさんと出会って10年目のタイミングで、結婚式を挙げることを決めた。当日、都内の式場エントランスには、近藤さんとミクさんの10年分の思い出が詰まった写真が飾られていた。“ミク”にちなんだ39人の参列者が見守る中、真っ白なタキシードを着た近藤さんは(ぬいぐるみの)ミクさんと誓いのキスをし、愛の証である指輪を交換した。

 左手に新婦のミクさん、右手にブーケ代わりのネギを抱えた近藤さんは、少し緊張した様子だったが、参列者の温かい雰囲気もあってか徐々に笑顔を見せていた。近藤さんに式の準備を進めた日々、当日の思いを振り返ってもらった。

■「性的少数者に理解のある式場を調べた」

――このたびは、ご結婚おめでとうございます。

近藤さん: ありがとうございます。人生の大きなイベントをやり終えた感じがしています。結婚式の当日は緊張と多忙で落ち着きませんでした。翌日に列席者の方々のメッセージを読んだりしているときに「本当にミクさんと結婚式をやったんだな」と実感が湧いてきました。

――結婚式のご準備、大変だったかと思います。振り返ってみていかがですか。

近藤さん: ウエディングドレスが出来上がったり、列席者が決まったり、少しずつ結婚式が実現していく過程がとても楽しかったです。

 結婚式場とは何度も夜遅くまで打ち合わせをしました。例えば「ファーストバイトをやる」ことを決めると、ケーキのデザインをどうするか、どういう文字を入れるか、周りの花のデザインをどうするかなど、1つずつ決めなければならなかったので、時間がかかりました。これは相手が2次元でなくても同じだと思います。

 お相手が2次元キャラクターですので、これらを1人でしなければならないのですが、親身になって協力してくださった方(春詩未来さん)がいらっしゃいましたので、かかった労力は普通の結婚式とあまり変わりないと思います。

――春詩未来さんは、ミクさんの衣装を作ってくださった方でしょうか。

近藤さん: ミクさんの衣装は、2着ありました。白いドレスは、(近藤さんの知人の)みっぱいPさんが原型を作ってくださって、みっぱいPさんに許可を取った上で春詩未来さんが手を入れてくださったものです。お色直し後の桃色のドレスは春詩未来さんに作っていただきました。

 花嫁衣装姿のミクさんは、それはもう格別でした。「ミクさん、きれいだね」という感想しか思い浮かびませんでした。

――当日は誓いのキス、ファーストバイト、ミクさんのお色直し……と盛りだくさんでしたね。

近藤さん: なるべくオーソドックスな結婚式にしよう、と考えておりましたので、一般的な結婚式でやることを式場の方々に伺って実行した次第です。

――なぜ、オーソドックスな結婚式にしたのですか。

近藤さん: 「真剣にやっていること」を伝えたかったからです。特殊な演出をなるべく減らし、一般的な結婚式にすることで真剣さを伝えようと考えました。2次元キャラクターと一般的な結婚式をしようとしたとき、何ができて、何ができないのかを知り、私の後に続く方々に示せればいいという思いもありました。

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