政府の知的財産戦略本部は2018年8月24日、「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」の第5回会合を開催した。「第2の漫画村」とも言える海賊版サイトが台頭している現状が報告されたほか、サイトブロッキング、フィルタリングに代わる「第3の対策」が提案された。

■新興の海賊版サイトが台頭

 出版社の業界4団体からなる「出版広報センター」の村瀬拓男弁護士は、漫画村が閉鎖した後の海賊版サイトの現状を報告した。違法コンテンツを自ら配信する「オンラインリーディングサイト」や、違法コンテンツへのリンク先を示す「リーチサイト」について、それぞれ新興のサイトがアクセス数を伸ばしているという。

 村瀬氏が指摘した新興のリーチサイトは、直近の月間訪問件数が約2000万件で、うち94%は日本からのアクセスだという。出版社はリンク先のアップローダーサービスに対して日々削除要請しているが、「削除には応じるものの3、4日で再度アップされる。いたちごっこだ」(村瀬弁護士)。

もう一つ、村瀬氏は「第2の漫画村」と呼ばれるサイトの存在を指摘した。「オンラインリーディングサイトとリーチサイトの中間のようなサイトで、海外在住者が運営していると思われる」(村瀬弁護士)。6月からアクセス数が急増しており、直近の月間訪問件数は約240万件に上る。複数のミラーサイトを備えているという。

このほか、P2Pコンテンツ配信のBitTorrentによる違法コンテンツの流通も確認されているという。

 村瀬弁護士は海賊版サイト対策について、広告から有料課金まで様々な事業モデルが存在することから、サイトブロッキングについても「必要かつ有益な局面は存在する」とした。

 「100%遮断する必要はなく、とりあえずの『止血』ができれば足りる。6〜8割のアクセスを困難にすれば、実効性があるのでは」(村瀬弁護士)。同センターの調査によれば、ポルトガルやオーストラリア、マレーシアでブロッキング実施後にアクセスが6〜8割減少した事例があるという。

 加えて、フリーブックスや漫画村のような海賊版サイトはわずか4〜5カ月で巨大サイトに成長していることから、「『様々な対策を行ったものの、功を奏さなかった』ことがブロッキング申し立ての要件になる制度では使いにくい。他の対策と並行で実行できることが望ましい」とした。

 これに絡み、講談社社長の野間省伸委員は、韓国のブロッキング制度について同国の出版社にヒアリングした結果を披露した。「ブロッキングの結果、アクセスの8割を抑えられており、成果に満足」とする一方で「通告から実行まで1カ月かかる点は問題だ」と語っていたという。


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