猛暑が続く日本の夏だが、「短編アニメ」にとっても”熱い夏”になっている。

新海誠監督『君の名は。』の制作で知られるコミックス・ウェーブ・フィルム(以下CWF)と、米林宏昌監督『メアリと魔女の花』を制作したスタジオポノック――。近年のアニメーション業界で注目を集めるふたつの実力派アニメーションスタジオが、同時期に短編アニメを公開することになった。その背景にあるものは何なのか、両スタジオの関係者たちに聞いた。

■新海誠作品を支えたスタッフが短編に挑戦

CWFが手がける短編オムニバス集『詩季織々』(現在公開中)は、中国のアニメ業界をリードするブランドHaolinersとのコラボレーション作品。1本あたり20分前後のアニメーション作品3本から構成され、全体で74分の作品となった。

Haolinersの代表も務めるリ・ハオリンが総監督を務め、実写映画出身でアニメ初挑戦となるイシャオシン、そしてCGチーフとして新海誠作品を支え続けてきた竹内良貴らが参加。監督全員が30代前半という日中の若き才能が結集している。

同作の総監督を務めるリ・ハオリン率いるHaolinersは、中国の人気WEBコミックをアニメ化した「銀の墓守り」などで知られるアニメーションブランド。10年ほど前に、新海誠監督の『秒速5センチメートル』を観て、衝撃を受けたリ監督は、『言の葉の庭』の公開に合わせて訪中していたCWF代表取締役の川口典孝氏に、コンタクトをとり、ラブコールを送ったことが最初の出会いだった。

「『君の名は。』の大ヒットから、制作依頼をいろんな会社からたくさんいただくようになりましたが、リ監督はその前からラブコールを送ってくれていた」と、CWFの堀雄太プロデューサーは語る。

そして、「最初の依頼の際は弊社の制作ラインが空いていなかったこともあってお断りしましたが、彼とはその後もいい関係を続けていたんです。だから『君の名は。』の完成後はどうしようかとなったときに、リ監督が送り続けてくれていたラブコールに応えることにしたのです」と明かす。

これまでの新海誠作品を支えたCWFの美術、CG、撮影スタッフが携わるという条件で制作された作品は、リ監督による、新海誠作品への愛情が随所に表れたものとなった。

同社の稻垣康隆プロデューサーも「あくまでビジネスとして、この作品を成立させようとするのではなく、リ監督の情熱がすべてだった。もちろんHaolinersもアニメの制作会社なので、自分でアニメを制作することができる。でも背景美術をはじめ、うちのスタッフと一緒に作りたいという彼の熱意が原動力となったことは間違いない」という。

当初の企画では劇場上映は想定せず、「1話10分ほどの短編を12本制作し、ネットで配信したい」というのがHaoliners側の提案だった。しかし、12本の短編を同時に作るのは物理的に難しく、短い上映時間では、ちゃんとストーリーを見せていくCWFの得意のスタンスにはならないという問題点が挙がった。

そこで両社で打ち合わせを重ねる中で、数人の監督たちによるオムニバス短編を作ろうという形になった。さらに、東京テアトル配給による特別上映も決まった。それと同時に、日本、中国以外の全世界では、動画配信サービスNetflixでも配信がスタートしている。

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