警視庁が発表している「平成29年における風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」内の「風俗営業の許可数(営業所数等)の推移」を参照すると、ゲームセンターの店舗数は平成29年現在、4381店となっている(※『UFOキャッチャー』に代表されるプライズ機や、幼児を対象としたカードゲーム機やライド機のみを設置している店舗も含まれている)。

1986年には全国に約2万6000もの店舗があったが、その数は2006年から徐々に下降。2010年に入ってからは全国各地でゲームセンターの閉店が相次ぐようになったその背景には、独自筐体でリリースされる新作タイトルの高額化と有償バージョンアップのほか、ネット接続が前提となったことで発生する毎月の通信費と、1プレイ毎にメーカーが一定額を徴収する従量課金の導入が挙げられる。これによって100円の売上から諸経費を差し引くと、店舗の利益は約50〜70円に下がってしまったが、客を誘致するために「2クレジット/100円」、「1クレジット/50円」といった値下げを行う店舗も多く、体力をじわじわと消耗している様子にも見える。

大手チェーン店やメーカー直営店の好調ぶりを「アミューズメント業界に復調の兆し」と報じるメディアもあるが、中小企業や個人が運営するゲームセンターは厳しい状況が長らく続いているのが実情だ。家庭用ゲーム機、PC、スマホでゲームはより身近なものになった反面、ゲームセンターは娯楽の多様化や移り変わる時代によって淘汰されていく。

「楽しいはずの仕事がいつしか苦痛になっていたんですよ」

こう話すのは、ゲームセンター「マットマウス鹿島田・新川崎店」(神奈川県)の店長を勤める本田正宣氏だ。

厨房機器のレンタル事業を行っていた本田氏は、友人からの誘いを受けて2003年からアーケードゲームのレンタル事業に着手。いくつかある取引先のひとつだった「マットマウス」を買い取り、自身がオーナーとなって2004年に「マットマウス パートII」の運営を開始する。シューティングゲームや音楽ゲームのスコアラーを輩出し、対戦格闘ゲームのコミュニティも活発だったが、知り合いの大家さんから紹介によって2014年10月に現在の場所へ移転。しかし、2018年7月22日に閉店となることを店舗のTwitterにて発表した。

なぜ、マットマウス鹿島田・新川崎店は閉店せざるを得なかったのか。15年に及ぶ営業のなか、市場の変化を現場で見つめてきた本田氏にインタビューを行ない、閉店の背景にある事象や心境を伺った。

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続く)