「京都の二十歳」として出現し、独自の作品世界と驚異的な速筆で活躍する小説家の西尾維新。
デビュー15周年を記念する展覧会「西尾維新大辞展〜京都篇(へん)〜」
(展覧会公式サイト http://exhibition.ni.siois.in/別ウインドウで開きます)が7日、京都市の京都文化博物館で開幕します。
会場を一冊の辞典に見立て、作品に登場するフレーズやアニメーション原画などの展示で、100冊を超える著作の魅力を紹介。
作家その人に、展覧会への思いや執筆秘話を聞きました。

――デビュー15周年記念の展覧会「西尾維新大辞展」は、どのような機会になりましたか?

 ■展示された情報によると、15年間で1600万文字ほどを書いてきたらしいのですが、
それをひとときに振り返るのはすごく良い体験になりました。
15年間、常に次の1作、というより次の1行のことだけを考えて書いてきた人間だったので、
覚えているつもりでも、忘れていることがあったり、意外と忘れられない出来事もあったりして。
それがここから先に生かされていけばいいなと思っています。たまには振り返ることも必要ですね。

――普段はほとんど振り返らないのですか?

 ■そうですね。いま書いてるもの、次に書くもののことばかり考えてしまっていて、
なかなか振り返る時間を作ってこられなかったんです。それができたのが、すごくうれしかったです。
色んなシリーズで、同じシリーズでも初期と後期でバラバラに書いてるつもりでも、
全作に共通するようなテーマや自分では気付かなかった一貫性があったり。
逆に、同じように書いてきたつもりでも、改めて振り返ってみると全然違うこと書いてるというようなことを思ったり。
客観的に15年間を振り返ることができた感じですかね。

――展覧会の機会がなければ、そのようなことも

 ■なかったと思いますね。ありがたいことに次に書く小説のスケジュールがあったりすると、どうしても
個々で言えば、アニメ化やドラマ化、あるいはコミカライズの時に1作1作を振り返ることはあるんですけれど、
その時もだいたい驚きますね。

――驚くというのは?

 ■僕は10年前からずっとこういうことを書いていたんだと思ったり、逆に去年出した本なのに、
いまはもう全然違うことを書いていると思ったり(笑)。
その時その時にしか書けないものを書きたいと思ってるという意味では後者のほうが正しいはずなんですけれど、
でもやっぱり前者もうれしかったりもしますね。1行1行積み重ねてきたつもりだったけど、意外と貫いているじゃないかと。
普段振り返ってないから、あまり体系的に自身を「読む」ことはないんですけど、展覧会はそれができた感じでした。

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朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL6562W6L65PKJH001.html
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