宮崎  『火垂るの墓』にたいしては強烈な批判があります。 あれはウソだと思います。
まず、幽霊は死んだ時の姿で出てくると思いますから、ガリガリに痩せておなかが減った状態で出てくる。

それから、巡洋艦の艦長の息子は絶対に飢え死にしない。
それは戦争の本質をごまかしている。
それは野坂昭如が飢え死にしなかったように、絶対飢え死にしない。
海軍の士官というのは、確実に救済し合います、仲間同士だけで。
しかも巡洋艦の艦長になるというのは、日本の海軍士官のなかでもトップクラスの
エリートですから、その村社会の団結の強さは強烈なものです。
神戸が空襲を受けたというだけで、そばの軍管区にいる士官たちが必ず、
自分じゃなかったら部下を遣わしてでも、そのこどもを探したはずです。

……それは高畑勲がわかっていても、野坂昭如がウソをついているからしょうがないけれども。
戦争というのは、そういうかたちで出てくるものだと僕は思いますけどね。
だから、弾が当たって死ぬのもいるけれど、結局死ぬのは貧乏人が死ぬんですよ。

https://parupuntenobu.hatenablog.jp/entry/hotarunohaka-navy-kouhen


> 私は、陸軍大学校出身のエリート軍人になんども会って、昭和陸軍の実態について話を聞いてきた。
> 彼は、私との間でコミュニケーションの回路ができあがったと確信したのであろうか、なにげなく
> 次のように言を洩らしたことがある。これが本音であったのだ。

> 「もし君に、まだ小学生の息子がいるのなら、戦争が始まりそうな時代がくるようだったら、すぐに
> 昔の陸軍大学校のような高級指揮官養成の教育機関に入学させるといい。そうすればまずは、戦場で
> 死ぬことは100パーセントない。私の陸大同期の者で大東亜戦争で亡くなった者は50人余の中のわずか
> 数人だよ。彼らも大体が玉砕の地の司令官や参謀だったからだね…」

「内心、『日本は戦争をしたらいい』と思ってるあなたへ」保阪正康他 角川書店 P21-22