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■今を逃せば、クリエイターが主導権を取り戻すチャンスは当面来ない

—— 従来の製作委員会方式では、アニメビジネスのリスクの高さを許容できる
(=複数作品への出資を通じてそのリスクの平準化が図れる)会社でなければ、なかなか参加できなかった。
そこに、配信プラットフォーマーという新たな、しかも資金力のあるスポンサーが現れて、
これまでの製作委員会とは顔ぶれが異なるいわば異業種の会社もアニメビジネスに参加出来る余地が出てきた、と。

福原:そうですね。スタジオが原作を持ち原作印税を得る、あるいは権利を持ちライセンス収入を得る、
ということが(スタジオの健全化のために)重要。にもかかわらず、
現状はほとんどの場合、両方を持っていないというのが問題なのです。

「原作を持つ」のは、必ずしも出版社のように大きな組織は必要ありません。
ヤオヨロズには、(けもフレのヒットで注目を集めた)たつき監督がいて、オリジナルも意欲的に制作しています。
経営戦略としてはライトノベルやWebコミックのレーベルを自ら持ち、原作を確保するというのも1つの方法ですね。

いずれにせよ、スタジオが潤わなければ、アニメーターの窮状は改善しません。
パートナー方式はその突破口になる、ということはもっと多くの人に知ってもらいたいですね。
逆に言えば、配信という“新しいコンテンツ消費”によるチャンス —— 私はデジタル化による変化の1つの節目で、
ここまでの進化はしばらく起こらないと考えていますが —— ここを逃すと、作り手の側に主導権を取り戻すチャンスは、当面来ない。

アニメ業界は、そういう危機感を持つべきだと思います。

BUSINESS INSIDER
https://www.businessinsider.jp/post-164211