戦前の不敬・反戦発言

「こんな勝ち目のない戦争をする阿呆見た事ない。
もっと廻りを見てから戦争せい。馬鹿野郎」


岐阜市 小林清高 (略)新聞に掲載された皇太子殿下の御写真を拝しつつ、
「こんな良い服や靴を着て何ぢゃ、我々国民があって初めてこんな良い服が着
れるのだ、こんなものは何ぢゃ」と言ひつつ該新聞紙をクシャクシャに丸め
(略)「こんな者は早く死んで了え」とストーブの火中に投じた 1940年

「もう一生懸命働いてもつまらぬ。 どうせ今度の戦争は負けだ。
其の様な事になれば今の内に無条件降伏をした方がよい。
無条件降伏をしても百姓をどうして殺すか。 兵隊とか手向ひする者は殺さ
れるかも知れんが、 俺達は手向ひせず食糧を作って向ふに売込めば良いのだ」

「食ふ米なしの戦さより負けて腹の肥る方がよからう」(落書)

「戦争に負けても勝っても役人と違って我々百姓には大した関係はない。
もし戦争に負けてもこれ以上配給が減るようなことはないと思ふ」
(言辞 犯人検挙)

「食糧不足につき人間製造中止」
(「樺太県本斗町公衆便所内・不穏落書・犯人捜査中」『特高月報』1944」)


「敵は軍部の偉い人と政府の大官である。自分たちは贅沢な生活をして安全な
防空壕に這入って国民にはイモを食はせ申訳けの防空壕で戦争させ毎日空襲の
あるたびに何万人と殺して居る」(投書)

「戦争に負けた処で吾々は殺される心配はない。殺されるのは天皇や大臣等の
幹部ばかりだ」(言辞 犯人検挙)

「天皇陛下は呑気に写真にうつって居るが人の子供をうんと殺してこげな
大きな顔をして居る」(言辞 犯人検挙)

「これ天皇や一寸申告するぞ。貴様はほんとにばかだな。戦争するなら物資
を十二分としてからのことだよ。貴様は毎日何をのんべんだらりとして居る
か。元寇の役を思ひ出せよ。あの時の天皇様は伊勢に立ちこもられたる為神
風にて追い払へたのだよ。貴様は国民を苦しめて毎日のんべんだらりと生活
してゐるから見よ伊勢神宮は丸焼けだ」(投書)

「如何に日本が大和魂があり精神力が強いと言つて見た処で十五と一
(生産力の米日比率)では勝つか負けるか言はなくても判つた事ではないか、
飛行機も足らんし、船も足らんと言つて後退して居るが日本は今に負けて
しまふだらう」
(「兵庫県・教諭嘱託二四歳・反戦言辞・取調中」『特高月報』1944)

「日本人は馬鹿だ。英米に戦ふのは無理だ。」
(「神戸市須磨区太田町・反戦落書・捜査中」『特高月報』1944))

「米英に頭をさげるんだ 一分でも早く 一分でも速く米英に降参しやう
 なんと日本はばかか」
(「京都市左京区電柱・反戦落書・捜査中」『特高月報』1944)

「天皇は八丈島へでも行つて死んでしまへ」
(「大阪・不敬不穏投書・鋭意犯人捜査中」『特高月報』1944)