>>396

 多くの自治体が課題に挙げるのが注射の打ち手の確保だ。かねて指摘されながら解決の道が見えないのは、
行政の力不足と言われてもやむを得ない。

 政府も歯科医師による接種を可能にしたり、離職中の看護師の登用を促したりしている。実技研修を充実し、薬剤師や
救急救命士といった人材の活用についても検討を急いではどうか。

 自治体独自の工夫を収集し、共有する試みも意義深い。

 例えば東京都調布市の集団接種会場では、接種を受ける人は個別に仕切られたブースで待機し、医師らが巡回する。
医師が着席し、高齢者が順繰りにその前に出ていく方式に比べて、移動に伴う負担やリスクが減り、効率も高まるという。

 市民の側も、感染対策をとりつつ、予約がとれるまでは落ち着いて待つなど、自治体の現場が業務を円滑に進められるよう
協力に努めたい。

 より若い世代の人たちを対象とする接種も早晩始まる。医療従事者、そして高齢者への接種を通じて浮かび上がった問題を
整理し、「次」に向けてさらに適切な仕組みを構築することも忘れてはならない。経験のないプロジェクトを滞りなく実践するために
知恵を絞るときだ。