>>189
(続き)

憲法改正によらなければ認められないとされた集団的自衛権の行使を閣議決定で合憲と
したことは、国民が保持する憲法改正権を内閣が簒奪したことを意味する。
検察庁法改正案の提出前に検察官の定年延長を実現したことは、国会が有する
法律制定権を内閣がかすめ取ったことを意味する。

現政権は、権力分立の根本を掘り崩したのである。

翻って「法ができないと言っていることを、法を変えもしないでできることにする」
政権中枢の政略は、無理筋の法解釈と知りつつその正当化をしなければならない
「配下」の者たちに過度の負担を強いる。先の両例で内閣法制局長と法務大臣の答弁が
その場しのぎに堕したのも、同じく両例で通常の場合と同様の協議文書(前者)や
決裁文書(後者)が残せなかったのも、無理に無理を強いられたこの国の官僚機構が
とうとう限界に達したことの痛ましい症例である。

(続く)