産経抄 2月15日

 謝るべきなのは、立憲民主党の辻元清美幹事長代行の方ではないか。安倍晋三首相が12日の衆院予算委員会で辻元氏にヤジを飛ばしたことを口実に、13日の同委を流会させたのは筋が通らない。
抄子が天邪鬼(あまのじゃく)なせいか、主要野党が居丈高にこのヤジを批判していることに、攻守があべこべだと感じる。

 ▼「タイは頭から腐るという言葉をご存じか」。辻元氏は予算委でこう切り出し、安倍首相に対し「子供の教育にも悪い」だの「頭を代えるしかない」だのと一方的に主張して質問を終えた。
これに安倍首相が「意味のない質問だ」と言ったことが問題視されているが、その通り無意味な質問そのものである。

 ▼立憲民主党側はすぐに「立法府議会全体に対する侮辱だ」(枝野幸男代表)、「議会人としてあるまじき行為」(安住淳国対委員長)と猛反発したが、これも解せない。
議会制民主主義の正当な手続きを経て首相となった相手を、腐敗物と面罵する方がよほど議会への侮辱だろう。

 ▼国会質疑の模様を伝えた新聞各紙を国会内に貼り出し、「くず0点」「論外」などと論評を加えて笑っていた安住氏は、自らの行為を議会人としてふさわしいとでも自負しているのか。

 ▼安倍首相のヤジに関しては、与党内からも大人げないといさめる声がある。小紙の14日付「主張」も「もっとどっしり構え」るよう注文をつけたが、時と場合にもよるだろう。
質問の最後に、答弁を封じてひどい中傷を仕掛けるような議員は、きちんと叱ってやるのが相手のためでもある。

 ▼言われっ放しでも政府だからとぐっとのみ込み、何も反論しないのが美徳だとは思わない。間違った指摘や罵詈(ばり)雑言にはきっちりと反撃する方が、言論の府を活性化させることもあろう。