産経抄 1月25日

 日韓関係は今、戦後最悪の状態だといわれる。「日韓関係を早く元に戻す必要がある。そのために最大の努力をする」。
こう述べる自民党の二階俊博幹事長は今夏、1000人規模の訪韓団を組織する考えだというが、なにもそんなに慌てて関係修復を図る必要はあるまい。

 ▼かつては慰安婦問題や教科書問題などで韓国が日本批判を展開すると、日本政府は過去への贖罪(しょくざい)意識からご無理ごもっともと従ってきた。
それが変わったのは、政府も国民もそれだけ韓国という国のあり方を冷静に見て、実態を理解するようになったからではないか。

 ▼特に北朝鮮べったりで中国に頭が上がらない文在寅(ムン・ジェイン)政権になって以降、それまでは見過ごすか軽視してきた韓国の異質性が顕在化した。
はっきり言えば、韓国が本当にわれわれと同じ西側自由主義圏の一員であるかは怪しいという現実が、霧が晴れたかのように明らかになった。

 ▼「中国の内政問題だ」。文氏は昨年12月、中国の習近平国家主席との会談で、民主化デモが続く香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区についてこう述べたとされる。
韓国大統領府は関連する習氏の言葉に対し、しっかり聞いたという趣旨の発言をしただけだと釈明したが、果たしてそうか。

 ▼一方、同日の日中首脳会談で、安倍晋三首相は香港問題に憂慮を表明したほか、ウイグルに対する中国の弾圧についても言及した。
会談後、中国政府高官は日本の外務省幹部に「文氏は内政問題だと言ったのに安倍首相は…」と不平たらたらだったという。

 ▼「日本は中国の朝貢国ではありませんから」。外務省幹部はこう切り返したが、文政権の韓国と日本は価値観を共有していないことが分かる。韓国とは一定の距離を置くぐらいでちょうどいい。