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2月12日(水)朝日新聞東京版朝刊文化面・民主主義は限界なのか

「強権」のままでいい若者たち   中西新太郎・関東学院大教授に聞く

今の秩序重視■代表制・多数決に「押さえつけられる」

安倍晋三首相の通算在職日数が歴代最長になった。最近では「桜を見る会」で野党の
追及を受けているが、これまでは「モリカケ」問題などの危機を乗り越え、底堅い
支持を保ってきた。支持の背後にある社会意識とはどのようなものか。「保守化」が
指摘される若者たちはどう見ているのか。若者と政治の関係に詳しい、中西新太郎・
関東学院大学教授(現代日本社会論)に聞いた。

 ――安倍政権下で「民主主義的な統治が変質している」と指摘されています。

「『独裁』とはいえないかもしれませんが、辺野古の基地問題などを見ても、私たちが
考えてきた民主主義的な統治の枠組みから外れたことが行われています。極めて
権威主義的、強権的性質を持っているといえるでしょう」

 ――なぜ強権的な政治が行われ、支持を集めるのでしょうか。

「それは安倍政権の特異性だけで説明できるものではなく、世界で進行する民主主義的
な統治プロセスの空洞化とも関係があると考えています。『衆議を尽くす』進め方
そのものが、『効率が悪い』と考える風潮が強まっています。社会・経済システムを
革新していくためには権威主義の方が都合が良く、民主主義的統治は『邪魔』だという
考え方です。ロシアや中国のように民主主義的統治と違う形の統治を実践するリーダー
もいる。日本もそうした統治を創り上げなければ国家が衰退するという危機感が、
安倍政権を支持する一つの力になっていると思います」

(続く)