>>586
(続き)

結局、中曽根氏は同日選に突き進み、歴史的圧勝で総裁任期の1年延長を手にした。
宮沢氏は政治的には完敗だったが、「だれもが政局判断で動いた中、青臭いよう
だけども筋を通した姿に感服した」と振り返るのは、当時宮沢派の1年生議員だった
田中秀征・元経済企画庁長官だ。

憲法には解散権行使の細かいルールは書いていないし、同日選は禁止とも書いていない。
こうした憲法の「すき間」を政略に利用するのか、それとも見識をもって踏みとどまる
のか――。「そこで政治の最高の道義性が問われる」と田中氏は言う。

2度の同日選の後、94年の政治改革を境に、日本の政治は大きく変わった。自民の
激烈な派閥抗争は見られなくなったが、政治の見識とか道義までもが失われたのだと
したら、悔いるべきことではないか。

(終り)