5月22日(水)朝日新聞東京版朝刊オピニオン面・多事奏論

編集委員 高橋純子   落書きと象徴と 値札をつけてしまっては

5月1日。令和最初の朝を迎えた私は令和最初の歯磨きをして令和最初の外出へと
一歩を踏み出し令和最初の電車に乗って……ああもう飽きた。3行苦行。とにかく
たどり着いたる東京都庁。庁舎は広い。迷っていたら親切すぎる案内板に遭遇した。

「『バンクシー作品らしきネズミの絵』入り口」

そう、世界的に有名なストリートアーティスト、バンクシーが都内の防潮堤に
描いたとみられる落書き、小池百合子知事に「捕獲」されたネズミに会いにきたのだ。

(続く)