5月22日(水)朝日新聞東京版朝刊総合3面・長期政権の磁界B

政権の「敵」へ 広がる「口撃」

激しい非難 一般社会でも

21日夜、東京都内のホテルであった自民党細田派のパーティー。同派出身の
安倍晋三首相が12年前の参院選敗北から野党転落までを振り返り、「悪夢のような
民主党政権が誕生した」と語ると会場は拍手と笑い声にあふれた。14日には
麻生派パーティー、20日の党会合でも民主党政権を「悪夢」と表現している。

攻撃姿勢続く

この6年半、首相にとって、政権批判には民主党政権批判で切り返すのが定番だった。
政権の強い磁界の外にあり、自らが「敵」と見定めた相手には、容赦ない言葉で攻撃
する。それが2012年12月の政権復帰以来の姿勢だ。

「攻撃ができる人は、守りもできるからね」。首相は復帰後、そう言って最初の組閣で
2人の女性議員を内閣府特命担当相として抜擢した。当時衆院当選3回の稲田朋美氏と
参院当選1回の森雅子氏の初入閣。2人とも、民主党政権を激しい言葉で攻撃してきた。

稲田氏「詐欺とも言うべきマニフェストで政権をかすめ取った」

森氏「(菅直人首相は)『空き菅』とか『すっから菅』とか言われている」

これらの言動には、自民党重鎮の伊吹文明氏が「国会で相手を口汚くののしっては
いけない」と苦言を呈したが、2人の女性閣僚と同じ派閥の先輩でもある首相は、意に
介さなかった。旧民主党に対する攻撃的な姿勢は、6年半経っても弱める気配がない。

(続く)