2019年7月25日(木) 朝日新聞名古屋本社 声
対韓規制 誰を利するか考えよ   演奏家 工藤咲良 (神奈川県 39)

 今回の韓国への輸出規制が招いている混乱は、迷惑である。

 誰にとって?

 善き意思をもって国際社会へ出てゆこうとしている、日韓両国の若者たちにとってである。
日ごろから、いつまでも進展しない自国内の隣国への感情に頭を悩ませ、心を痛める若者
たちにとってである。

 一方、規制が図らずも肥えさせてしまう勢力が二つあると思う。

 一つは、韓国内の姿の見えない勢力である。彼らは、かつて日本の占領で苦しみ傷ついた
高齢の方々を哀れむ姿を見せ、日本への怒りを訴える。時にそれを利用することで反日感情を
あおり、支持を集めてきたと考えられる。そしてもう一つは反対サイド、先入観で韓国人を差別
する、一部の日本人勢力である。

 どちらも危険な勢力である。これまで両国民が大きな力を注ぎ、隣国との間に結んできた
相互理解と友好関係の糸を、一瞬で断ち切ってしまいかねない。韓国に友人の多い私自身
にも、大きな心配事である。

 「誰に力を与える政策なのか」という点を、政治家の方々には、よくご考慮のうえ、実行に
移していただきたいと思う。