産経抄 3月30日

 これが漫才ならば「いいかげんにしろ」と、最後に相方を抑える場面だろう。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、大統領府に日本企業関係者らを招き、日韓関係の悪化を懸念する日本側に言い放った。「経済交流は政治とは別に見るべきだ。企業間の経済交流が活発になることを望む」。

 ▼どの口がそれを言うのか。いわゆる徴用工訴訟で原告側が日本企業の資産を差し押さえ、資産売却で企業に被害が出ようとしているなかでの発言である。
しかも日本政府が問題解決のための協議を求めているにもかかわらず、文政権は何も動こうとしていない。

 ▼韓国政治の無策、いや政治による意図的な反日行為の放置が今日の事態を呼んだのではないか。ともあれ、韓国は韓国最高裁判決を盾にないがしろにしている日韓請求権協定が、双務的な決まり事であることをすっかりお忘れのようである。

 ▼協定で日本は、韓国に置いてきた莫大(ばくだい)な財産や、韓国が1952(昭和27)年に一方的に李承晩ラインを設定して公海上に境界線を引いたために拿捕(だほ)され亡くなった日本人漁民らをめぐる請求権も全て放棄した。それを蒸し返してほしいのか。

 ▼韓国は協定が結ばれた65(同40)年までに300隻以上の日本漁船を拿捕し、3千人を超える漁民を長期間抑留した。拿捕時に銃撃されるなどで死亡した漁民もいる。漁民らへの補償金は協定の趣旨に従い日本政府が支払ったが、韓国に請求してもいい。

 ▼戦後、朝鮮半島で日本人が受けた暴行や略奪、その他違法行為に関しても損害賠償を求め、韓国政府の公式な謝罪と関係者の処罰も要求しよう。
5億ドルの経済支援分も、現在の通貨価値に換算して返還してもらおう。それぐらい言わないと彼らは理解しそうにない。