>>594
(続き)

 ――『消滅世界』(2015年)は夫婦の性交渉は忌むべきもの、人工授精で産むのが
 「正しい」とされる世界です。

「現実の仕組みを知りたいという気持ちが強かった。そうではない仕組み、たとえば
科学技術が発達して男の人が子どもを産めるようになったら、全く違う世になる。
『消滅世界』を書きながら、セックスが消えても繁殖できる私たちについて考えて
いました。未来ではセックスをする方が少数派になっているかもしれない。『え?
君はセックスしたことがあるんだ、珍しいね!』と。今でも性交渉なしで子どもは
作れるし、セックスはマストではない。でも、している。その変さに興味があります」

(続く)