12月19日(水)朝日新聞東京版朝刊文化面・後藤正文の朝からロック

すべての子の可能性に祝福を

未婚のひとり親への支援策をめぐる与党の議論について、いくつかの記事を読んだ。

現在の税制では、婚姻歴の有無によって、ひとり親の税負担に差がある。
公明党が見直しを求め、一部の自民党議員が反発しているという内容だった。

こうした問題が議論される場合、決まって親の責任の話になる。
「経済力」や「計画性」というステレオタイプな言葉が使われ、親たちが非難される。

生まれながらの貧富の差が、この世には存在している。
僕はそれをほどくアンフェアだと思う。

富める者の子が、その富を受け継いで様々な機会を得る。
一方で、貧困を理由に進学を諦める子どもたちが、社会には多く存在している。

自分の力ではどうにもならない経済的な能力や、
それにまつわる機会の格差を「運命」という言葉で片付けないために、
社会制度があるのではないか。

未婚のひとり親の是非、といった家族観や価値観の話ではなく、
自力では解消し難い不平等を子どもたちが抱えているのだということを、
政治家たちには考えてもらいたい。

必要なのは親への非難ではなく、すべての子どもの可能性を祝福することだと思う。

生き方と税制の話にとどまらない、子どもたちのための公正な社会制度について、
根元からの議論を望む。

(ミュージシャン)