12月15日(土)朝日新聞東京版朝刊1面・視点

那覇総局長 伊東聖   想像してほしい これが自分の街なら

想像してみてほしい。自分の街に政府が巨大な施設を造ろうとしている。賛否ある中で
知事選があり、反対を訴えた候補が大差で当選する。だが「皆さんに寄り添う」と言う
首相が率いる政府は、1カ月後には工事を始め、後戻りが難しくなる段階に踏み込む。

米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、沖縄で現実に起きていることだ。

沖縄県知事選では4年前に翁長雄志氏が、9月には玉城デニー氏が大勝。ともに
辺野古移設反対を掲げており、「辺野古ノー」の明確な民意が示された。

だが安倍政権は、行政機関から不利益な処分を受けた市民のための行政不服審査制度を、
防衛省も一市民であると強弁して使い、「身内」の国土交通相に埋め立て承認撤回の
効力停止を申し立てて、認められた。土砂搬入のために港が使えないとなると、計画に
ない民間の桟橋を使った。

(続く)