7月19日付東京本社版
罪を憎んで人を憎まぬ寛容とは   無職 山本重政(千葉県 70)

 イタリアに住む日本人の友人からメールが届いた。イタリアでは死刑が廃止されており、日本で7人も一度に執行されたことが話題になっているそうだ。「日本人は報復感情を抑えられない民族なのか」と質問された友人は「そんなことはない。
『昨日の敵は今日の友』という言葉だってある」と的外れな返答をしてごまかしたらしいが、「人権問題で日本はヨーロッパに後れをとっていると言われてしまう」と書いていた。

 「外国からとやかく言われる筋合いはない」と開き直っても、民主主義の理念の下、死刑制度はいずれは廃止に向かうのが自然だから、いつまでも残虐刑を保持するのは先進国を自負する日本としては恥ずかしい話だろう。

 日本では凶悪犯罪が起こるとすぐに「極刑にしろ!」の大合唱になる。欧州で仮に地下鉄サリン事件のような事件が起きても犯罪者を死罪にしない。その寛容さはどこからくるのだろう。同じ人間としてコンプレックスを感じる。「罪を憎んで人を憎まず」の法の理念が実践できるのはうらやましいと思ってしまうのである。

---------------
 現場で裁判抜きで容疑者を射殺するのはどういう整合性があるのか訊いてやればよかったのに。