5月28日(月)朝日新聞東京版夕刊・社会面

日大に一言いいたい   悪質タックル 憤る全共闘世代

「責任取らない体質 50年前と同じ」

半世紀前、全国の大学闘争を代表する運動だった「日大闘争」は、日本大学の
不正経理問題に学生が怒ったのがきっかけだった。当時の抗議行動に参加した日大OB
らは、日大アメリカンフットボール部の悪質なタックル問題への大学側の対応に
「選手に危険なプレーをさせたのに、大学側が責任を取ろうとしない体質は、50年前
と同じだ」と憤っている。

1968年、日大で約20億円の使途不明金が発覚した。学生らは5月27日に
日本大学全学共闘会議(日大全共闘)を結成。6月11日に警視庁機動隊が導入された
ことに反発し、各学部校舎をバリケードで封鎖した。

9月30日には学生らが東京・両国の日大講堂で「大衆団交」を開いた。トップの
古田重二良会頭が謝罪し、退陣を表明したが、直後に学生らが逮捕され、退陣は
ほごにされた。

法学部3年のとき全共闘に参加した三橋俊明さん(71)は「当時、体育会や右翼の学生
は大学当局の意を受け、全共闘の運動を抑え込む側にまわった」と振り返る。今回の
アメフトの問題では、選手が悪質なプレーを反省して1人で謝罪し、経緯を説明した。
「勇気ある行動だと思う。私たちも支えていく」と語る。

元学生らはいま70歳前後。6月10日に東京都千代田区で「結成50周年の集い」の
開催を呼びかけており「おかしいと思ったことには、現役世代とともに声を上げて
いきたい」意気込む。