5月28日(月)朝日新聞朝刊・天声人語

NTTとは関係ないにもかかわらず、NTTと称したり、NTTとあたかも関係がある
ような説明をしたり、事実に反する説明をして契約を迫る販売勧誘が発生しています。
くれぐれもご注意ください――。

NTT西日本のホームページから引かせていただいたが、困っている会社は他にも
あろう。誰もが知る企業との関係をにおわせるのは悪質業者の常套手段だ。では
「首相に『いいね』といわれた」と触れ回るのはどうか。

加計学園の加計孝太郎理事長と安倍晋三首相が面会したことを記す文書が愛媛県に
残っていた件で、学園がコメントを出した。その説明を信じるなら、理事長は首相と
会っていないし、獣医学部の計画にいいねと言われてもいない。なのに、愛媛県には、
面会したとウソの報告をした。学部設置への打開策を探るなかでの作り話だったという。

虚偽報告なら謝罪があってしかるべきだと愛媛県知事が言うのは当然だろう。首相も
怒りに震えているに違いない。「相手の立場を利用しようとするなら、友人とは
言えない」が持論なのだから。

まずは首相官邸がホームページで警告してはどうか。「首相とあたかも関係がある
ような説明をして、認可や補助金を得ようとする学校法人がいます。ご注意を」。
もう手遅れ? いや姿勢を示すためにも。

ひどいウソが多すぎて感覚がまひしそうな昨今の国会である。もし「ウソをついた」
というのもウソだったら……。怒りに震えるパワーは、私たちに残っているだろうか。