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桃原蓉子さん(82)は、週に2回、うるま市から座り込みに参加する。

育った集落には戦後間もない頃、米軍の使用済みのボンベがつり下げられていた。
女性を狙う米兵が集落へ入ってくると、打ち鳴らされる。そのたび床板を外し、
潜り込んだ。

小学校の教員になった59年、うるま市内の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落し、
児童ら17人が死亡。61年には、同じ市内の川崎小学校付近に米軍ジェット機が
墜落、2人が死亡した。

「この目、この耳で見聞してきた一つ一つの被害を語り出したら、何日あっても
足りないよ」

ゲート前に座り込んでいるのがほとんど高齢者という現状に、ネット上では
「シルバー部隊」と揶揄する声もある。だが「若い人は、昼間働いているのに。
仕方ないさあ」と笑う。

16年春には、うるま市内で米軍族による女性殺害事件が起きた。戦後70年を
過ぎても、次の世代が犠牲になり続ける現状。「被害を目の当たりにしながら、
情況を改善できなかった責任を感じている。だから、今の私にできることを、
がんばらないとね」

ネットなどでは「参加者に日当を配っている」とのデマも流れる。ほぼ連日参加する
上間芳子さん(72)は言う。「バス乗り場までの交通費とカンパで月に3万円ほど
自己負担している。財布から出て行くお金はあっても、入ってくるのはない。来て
みればわかるさ」

  (終り)