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10月26日(木)朝日新聞東京版朝刊社会面「審判の後で 2017衆院選」(下)

放送作家 町山広美さん(52)   有権者よ大いにブレて

今回の衆院選では、前回よりテレビの選挙報道の時間は増えましたが、政治家のごたごたを
面白がる内容でした。テレビを作る側は、対立構造にするとお話を作りやすいし、視聴者に
興味を持ってもらえると考えがちです。

そして各局の選挙特番。話題は、与党の獲得議席数に飛んでいました。消費税の使い道や
少子化対策など選挙戦で提示されたはずの争点は置き去りです。視聴者から「で、これから
どうなるの?」を求められる。社会の一員なのに、傍観者のように、行き着く先が見られる
ものだと思っているって変ですよね。これまでの流れは重要ではなくなり、前と話が
つながらなくてもあまり気にされない。

安倍晋三首相の政治姿勢にも近いと感じます。選挙戦で掲げたことと、その後に取り組む
ことが違っても平気。前言を翻しても顧みない姿勢です。

今回は「国難突破」が解散の大義でした。直前には北朝鮮のミサイル発射でJアラートが鳴って
身構えました。でも、同時期にはプレミアムフライデーの宣伝があり、「遊びましょう、お金を
使いましょう」。おかしくないですか。

  (続く)