【産経抄】保守派が少数派となり社民党化する民進党 泥舟と分かって乗りたがる人はいない 9月16日


 失礼なたとえかもしれないが、「ネズミは沈む船を見捨てる」という言葉が思い浮かぶ。
4月の長島昭久元防衛副大臣に始まり、だらだらと続く民進党の離党ドミノのことである。
15日も笠浩史、後藤祐一両衆院議員が離党届を提出したが、予備軍はまだまだ控えているという。

▼「この場で政権交代を言っても、国民は『何を言っているんだ』となろう」。前原誠司代表は1日の就任あいさつで、こう率直に認めた。
そのうえで、改めて国民の選択肢となることを呼びかけたが、党所属議員が次々に別の道を選択するありさまでは話にならない。

▼長島氏、細野豪志元環境相、笠氏…と顔ぶれを振り返ると、民進党にあって「改憲派」とされていた人たちである。
党内の保守派はいよいよ少数派となり、政策・体質の社民党化は進むことだろう。
それで自民党に代わる受け皿となれるのか。

▼前原執行部メンバーを見ても、枢要ポストの幹事長代行は元社民党で、かつて著書で皇室について「気持ち悪い」と書いていた辻元清美元国土交通副大臣が就いている。
那谷屋正義・参院国会対策委員長は、北朝鮮と何かと交流の深い日教組出身である。

▼前原氏自身は保守派とされてきたが、6日のBSフジ番組では集団的自衛権の限定行使を容認した安全保障関連法を「憲法違反」と断じ、政権を取ったら廃止して新たな法律を作ると主張した。
今そこにある北朝鮮の脅威に対し、随分と悠長に構えている。

▼国会議員の一番の仕事は、国民の生命と財産、自由を守り抜くことではないか。
それなのに、国際社会の現実に背を向けて社民党化していくようでは、国民はとても大船に乗った気持ちで国政を任せられまい。
泥舟と分かって乗りたがる人はいない。