産経新聞 2006年4月28日「断」

不平等なんてないです!

大不平等時代の幕開けだと、メディア全体がかまびすしい。一度敗者のレール
に乗ったらもう這い上がれないなどと不安を煽る。
そうなれば、「せめて教育だけは何とかしたい」と思うのが親心。ぎりぎりの
生活費を切りつめて子供を塾通いさせ、母親は毎日パートへ――などという家庭
も少なくはないだろう。パートに出たら出たで、正社員と比べて「不平等」な実
入りに打ちのめされるのである。たしかに現代が厳しい環境であるのは確かなよ
うに思う。
しかしである。そもそも日本では大抵の家に風呂があり、お湯が出、図書館に行
けば本はいくらでも読める。仕事だって外国人労働者に頼らねばならぬほども
あるのである。その外国人労働者が見たらこう思うだろう。これのどこが下流な
のか不平等なのか、と。
たしかに上を見ればきりがないだろう。私も学生の頃、親の丸抱えで留学し
たり、結婚のお祝いに家やマンションを買ってもらえるような友人が羨ましくて
仕方がなかった。しかし、私はそういう幸運に恵まれなかったからこそ、逆に、
「考える」事を学べたのである。
すなわち最低限のお金とチャンスをどう活かすか。何を捨て、何を極めるか。
私はこれ以上ないくらい真剣に考え、行動した。お金もコネも情報も何もなかっ
たからだ。
今の日本に本当の不平等などありはしないと私は思う。一見不平等に見えるも
のは必ずチャンスになりうる。それを見いだせないのは、社会や国が悪いからで
は決してない。個人の気持ちの問題なのである。
(漫画家・さかもと未明)




文句ばっかり言って、おまえら甘えすぎなんだよ