社説
財政審議会の意見書 借金まみれの平成の教訓
毎日新聞2018年11月21日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20181121/ddm/005/070/059000c
 日本の財政が危機的状況にあることは明らかだ。国と地方の借金総額は国内総生産(GDP)の2倍以上に上る。
巨額の軍事費を大量の国債で賄い、破綻寸前だった第二次世界大戦末期に匹敵する水準である。

 なのに首相は現実離れした高成長と税収増を当て込み、歳出抑制や負担増にほとんど手をつけなかった。
 先月には2回延期した消費増税を来年10月に行うと表明したが、来年度予算案には大型景気対策も盛り込む。
負担先送りに歯止めをかける増税本来の理念はかすむばかりだ。

 首相は少子高齢化を「国難」と呼んできた。ならば借金にまみれた苦い教訓を踏まえ、高齢社会を乗り切れる
財政を早急に目指すべきだ。