「俺、くさいかな?」
>>1はふと、そう思った。そして自分の脇の下の匂いをかぐ

確かにくさい
殆ど刺激臭といってもいい脇の匂いに、脂汗の凝り固まった匂い、魚の腐ったような悪臭、
そして中年男の加齢臭…

「どうしよう、これじゃあ百合子に嫌われちゃうよ」
1は呆然とした
先ほどまでの激しいオナニーの余韻はどこかへ吹き飛んでしまった

1は何気に、ベッド脇の鏡を覗き込んだ
そこには、醜い中年男の姿が映っていた

長年仕事もせずに、一日中引きこもって百合子への妄想とオナニーを続けてきた男の姿
ゆがみきった表情、弛んだ肉、醜く爛れた頬のイボ

それが現実の1だった

けっして百合子と交わることのない
孤独で寂しい、ただの醜悪な男だった

くさい、確かにくさい
しかしそれは、1という哀れな妄想男の存在そのものがそうなのだ

辛すぎる現実
1はそれを拒絶して、今日もまた、百合子への妄想とオナニーの快楽に逃げ込む

自作自演の自己逃避
それが>>1の全人生だ