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今、中公新書から出た「5・15事件」という新刊本を読んでいる。戦前の革命運動とは、左翼と右翼がウイルスが混じり合うように
蠢いていたことがよく分かる本だ。当時の富が資本家に集中し、政治家の不正などの憤りから「一君万民」の右翼運動が社会主義化し、共産主義者と
結びついていく様が、著者は、そのことに触れなくともよく表現されている。藤井斉という人がいる。海軍航空隊の将校で上海事変で戦死する人だが、
革命家達の理論的支柱だったらしい。右翼の革命家にしろ、左翼の革命家にしろ資本家階級に跪いた社会を転覆するには、
社会を混乱、疲弊させるカオス状態を欲していることがよくわかる。だから、テロに走るということらしい。
「藤井は、根っからの革命扇動家だよ」と言ったのは、5・15事件の首謀者の三上卓だ。
若き行動革命家の裏にいるのは、大川周明であったり、北一輝であったり、徳川義親であったり、農本主義者であったりした。
現在の右翼と左翼は、分かれているが、西部に影響を受け、嫌欧米で「一君万民」でケインズ的ニューディラーの右翼が
統制社会を夢見て、戦前のような左翼との共闘を政治的選択しないとは言えないはずだ。現にMMTの経済論では意見が一致している者もいる。