http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190820-00000041-sph-soci

今回の玉川徹の発言には、共感が持てる。リアリズムを追求しようと見る者からすれば、人々の為に脳内理想を正義と考え、
社会化を実現しようという動きこそが、幾多の悲劇の原因であった。マルクス自身、好かれと思って考えた自分の思想が、
何千万人という犠牲者を出す原因になるものとは思わなかったはずだ。
近衛文麿の「英米本位の平和主義を排す」には、これまでのアングロサクソンの世界支配により作られた世界秩序を覆す、
とした意図を吐露したものだ。永田鉄山も石原莞爾もこのアングロサクソンの価値観の世界から脱する為に
東アジア、東南アジアを一つに統一した自給自足圏を作り、欧米世界に対峙していくことを理想とした。
アジア人から見れば、理想としては、理があるものである。しかし、それを実現する能力を考えた場合、無理がある遥かな道のりが現実だったようだ。
正義実現には、多くの犠牲が必要とトロッキーや毛沢東のように割り切れば、それなりに話は分かるが、多くの場合、「こんなはずじゃなかった」と、うな垂れることになる。
大事なのは、今の現実で、目標とするところに行き着く、効果的で効率的方法である。「アメリカは、日本に原爆を落とした」これは、感情である。
「今の日本の能力や地政学的条件を考えた場合、日米同盟は、必要である」これは、リアリズムの現状認識である。
「英国は永遠の友も、永遠の敵も持たない。持つのは、永遠の利益だけだ」 英国外相だったパーマストンの言葉だ。
玉川が、リアリズムに目覚めたかどうかは、分からないが正義による理不尽に向き合うのは、パーマストンの言葉であることを理解してもらいたいものだ。