■外資に乗っ取られる日本のインフラ
心配のタネはまだ尽きない。「水道法改正」と「種子法廃止」の動きだ。アジア太平洋資料センターの内田聖子(しょうこ)事務局長が
こう危ぶむ。まず水道法から。

「小泉首相の規制緩和で、自治体は水道事業の大部分を民間に委託することが可能になりました。
しかし、全国的な民営化は今も進んでいない。その原因は水道施設の老朽化や、災害リスクなどにあります。
今、水道事業に参入しても儲けが期待できない、というわけです。
しかし、今回の水道法改正で、もし災害で水道管が破損しても、復旧費用の大部分は自治体持ちということになりました。
これにより民間企業の水道事業への参入障壁がグッと下がりました」

水道事業関係者は、こう不安を漏らす。
「日本の水道事業の資産規模は約30兆円といわれ、災害リスクが大幅減となれば、大手外資企業が狙ってくるでしょう。
そして、水道事業は地域独占的な性格が強く、民間企業が運営しても競争がないので、値下げは期待できない。
むしろ、利潤を得るために料金の大幅値上げが予測されます。
そもそも“水”という人間が生きていくには欠かせないインフラを、外資に売り渡してしまうかもしれないことに怖さを感じます」