分割して転載C
正当化という言葉は「正当でないことを正当なように見せかける」という意味ですが、この作者はコペル君をひとつも正当化などしておりません。
小林先生の
「いざという時に必ず逃げる男を、どう正当化するか?という話」
というのは誤読もしくは恣意的に論旨を歪めた明らかに妥当性を欠いた批判であると感じます。


現代における様々なトピックの中から、ある者を称賛するために、対になる別の事象を持ち出して、
それを徹底的に厳しく批判する…というのは、「ゴーマニズム宣言」のひとつのパターンですが、
今回のように中身が明らかに妥当性を欠き空転しているようなものは、「批判のための批判」でしかなく、利用された相手はたまったものではないと思います。

欄外には「こんなに連載を持ったのは、デビュー以来初めてかもしれない」とありましたが、
本作に限らず最近の作品を読んで感じるのは、粗製乱造による「描き飛ばし」が多すぎるのではないかということです。

今回の『君たちはどう生きるか』批判からも、この本が200万部も売れているベストセラー書にもかかわらず「どうせまともに読んでいる読者はいるまい」という見くびりが感じられます。
どうしてこんなに読者の知性を低く見ることができるのでしょうか。

ごく普通のストーリー漫画ならともかく、このように実在の作品や人物などを持ち出して厳しく批判するスタイルをとる「ゴーマニズム宣言」などは、
より一層の慎重さを持って発言に当たらなければ、いつか大きなしっぺ返しを食うことになりはしませんか。
あまり読者をみくびらず「見ている人はちゃんと見ている」ということをお忘れにならない方が良ろしいかと存じます。