高森明勅の『今昔モノ語り』
週刊新潮、事実無根 「悠仁親王即位」 記事の悪質さ
. (一部抜粋)

2013/06/14
by 高森明勅

例えば将来、いよいよ悠仁親王殿下の即位という場面で、ご本人が即位を辞退されたらどうなるのか。

一旦、ご本人のご意思を介在させる制度化を行った以上、悠仁親王殿下だけを例外には勿論、出来ない。

するとたちまち、万事休すだ。

我が国から天皇という存在そのものが失われることになる。

天皇を秩序の基軸とする日本社会の伝統的な在り方自体が、たったお一人の皇族のご意思によって決定的に左右される事態になるのだ。

また、ご本人のご意思で退位や即位辞退が可能になると、無責任かつ悪質な週刊誌の記事などを鵜呑みにした人々が、
ご本人に働きかけて天皇の退位や即位辞退を実現させようと、不敬不埒な署名活動やデモを活発に繰り広げないとも限らない。

あるいは、現在の皇統の危機を首尾よく乗り越えたと仮定しての話だが、複数の皇位継承候補者がいた場合、
希望の皇族を即位させるために、継承順位が優先する他の全ての皇族方の即位辞退を、強烈に要請するような行動にも走りかねない。

さらに、自分たちが「支持」する皇族を何とか即位させようと、国民の間に激しい対立が生まれることもあり得る。