三島由紀夫「花ざかりの森・憂国」には南京大虐殺が出てくる。新潮文庫P137

> 私は愕然として、顔をあげて草田を見た。何でも知っている友は言葉を継いだ。
>「あの川又という老人は、もとの有名な川又大佐なんだよ。君も知ってるだろう。南京虐殺の首
>謀者と目された男だ。
> あいつはとうとう身を隠して、戦犯裁判から逃げとおした。もう大丈夫となると、姿を現わし
>て、この牡丹園を買いとったんだ。
> 戦犯の罪状には、彼の責任をとるべき虐殺が、数万人に及んでいる。しかし本当のところ、大
>佐がたのしみながら、手ずから念入りに殺したのは、五八○人にすぎなかった。
> しかも、君、それがみんな女だよ。大佐は女を殺すことにしか個人的な興味を持たなかったん
>だ。