あさひ太夫を他の花魁もので評判をとった女優の名をあげて「らしくない」という言い種も噴飯もの。

吉原の表看板として名を馳せ殺到する客を悩殺する花魁ではなく、翁屋の奥深くで大事に大事に扱われ
滅多に客をとらない、存在自体がミステリーである伝説の花魁それがあさひ太夫。
しかも、あさひ太夫はまだ二十歳そこそこの乙女だ(生娘澪と同年齢)。
どこから妖艶で華やかな花魁のイメージが出てくるのだろうか?
不幸な経緯から苦界に身を投じながらも矜持を決して失わない野江は、孤独と闘いながら強い精神力を保持し続け、
ある種の威厳すら発している。
そのような「うら若い、しかし過酷な経験ゆえ大人びている」太夫像に、成海璃子ちゃんはよくフィットしていた。
貫地谷さんはお上手で美しかったが、とりわけあさひ太夫がもつべき「二十歳の乙女オーラ」からは遠かった。