鍵がかかっているはずのドアから、ジャニー喜多川氏が入ってきた…13歳で性被害「忘れようとした」過去を告白し、乗り越えるまで 

ダンサーで俳優の橋田康さん(37)は1998年、12歳でジャニーズ事務所のオーディションを受けた。

1年ほどたった頃、コンサートの出演でホテルに宿泊することになった。眠りについた深夜、鍵のかかっていたはずの扉から入ってきたのが、ジャニーズ事務所の前社長、故ジャニー喜多川氏だった ...

最初の被害の後は、身を守るために「試行錯誤」した。
 
公演でホテルに宿泊する際は人がいて騒がしい部屋を選び、眠らないように気を張った。喜多川氏の家に行くこともあったが、いつも泊まらずに帰った。
 
被害を「なかったことにしたい」と思う一方で、普段の喜多川氏は優しく、おじいちゃんみたいな存在だった。コンサートのリハーサルで周囲の空気がピリピリとするような時も、喜多川氏がやってくると場がなごんだ。

性加害を除けば、多くのスターを輩出したプロデューサーとして尊敬している。

高校を卒業する頃、ジャニーズ事務所を退所すると決め、被害に遭ったことを親に打ち明けた。親は多くは語らず「苦しかったね」と涙を流した。
 
「親も応援してくれていたので、自分たちを責めたんじゃないか。その思いを想像すると今も胸が苦しい」

ジャニーズ事務所を離れてからも、ふとした瞬間に過去が脳裏をよぎって落ち込んだ。自分のことを「汚い」と思うこともあった。気心の知れた人に被害を話せるようになったのは、30歳を過ぎてからだ。
 
人に打ち明ける中で、優しい言葉をかけてもらったり、支えてくれる人が現れたり、そうした人たちに助けられ、だんだんと乗り越えてきた。