本紙が昨年12月に目撃例を報じた豊島区、さらに江東区など、最近は東京都

心でタヌキの目撃報告が相次ぐ。19年度に江東区内の関係機関に寄せられた

目撃報告は5件だったが、20年度は既に14件に上る。

◆夜行性「触らずに優しい目で見てあげて」
 個体差はあるがタヌキは夜行性で人目を嫌う。目撃の増加は新型コロナウイル

スの感染拡大で夜に出歩く人が減り、タヌキが活動しやすくなった影響もあるように

思えるが、麻布大いのちの博物館(相模原市)の高槻成紀名誉学芸員は「それは状

況によって変わる。東京全体で人の動きとタヌキの関係が変化したとまでは言えない」

と語る。ギンナンや柿などの木の実や昆虫を好み、都心でも緑が多い場所には生息。
かつて上皇さまは皇居のタヌキの生態を研究されていた。

 尾が長いハクビシン、尾にしま模様があるアライグマと違い、タヌキは木登りは苦手で、

木に実る農作物を食べることは少ない。「狸」の文字通り古くから人里近い場所に生息し、

東京でも生き延びてきた。高槻さんは「病気や寄生虫を持つこともあり触らないようにしてほしいが、優しい目で見てあげて」と話す。