ニッキの本音スレで興味深いブログを見つけた
映像ディレクターの大根仁さんのブログ
つかさんの熱海殺人事件をやったときのヒガシの真面目で素直な態度が今も昔も変わらないなあと思えて
ヒガシのそういう所が好きだ、ヒガシのファンでいて良かったと思ったわ

演出はつかこうへい作品の演出経験のあるフジテレビの社員ディレクターが担当することになり、
主役は少年隊3人+藤谷美和子。台本は数年前に上演された、どのバージョンかはわからないがクラシックな設定の『熱海殺人事件』だった。
稽古当日、メイキング担当だったオレはリハーサル室にいた。
稽古開始の1時間前に東山紀之が来て、ストレッチを始めた。
「まさか、つかさん来ないよね」「って聞いてますけどね」「来たら大変だよ、台本なんて意味なくなっちゃ……」
ガチャ。ドアが開いて入ってきたのはスーツ姿のつかこうへいさんだった。
「おうヒガシ、始めるか」。この『熱海〜』につかさん本人が関わりたいという話があったのだが、丁重にお断りしたはずだった。
つかさんはジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めて室内を歩き回りながら台本をパラパラとめくり、こう言った。
「古いな。全部変えよう」。そこからヒガシ相手のアドリブ口立て演出が始まった。
「私、世界には4人の巨人がいると思っております!」「私世界には〜」「一人はヴィンセント・ヴァン・ゴッホ!」「一人は〜」「一人はリヒャルト・ワーグナー!」
どのシーンのどのセリフだか全くわからない。
即座に相手をするヒガシも凄いが、オレはあっけにとられていた。
「おい君!」突然オレを見た。「このセリフ、書いてくれ!」「え?」「いいから書け!」「はい!!」
「一人はフリードリッヒ・ニーチェ!」「一人は〜」「そしてアドルフ・ヒトラー!!」
やがてプロデューサーやディレクターがやってきた頃にはもう後の祭り。
戯曲選定スタッフは慌てた。「つかさん、今回は台本があるんですよ!」「つまんねえんだよ! 誰が書いたんだ? あんなもん!」
さらに到着した錦織、植草、藤谷美和子を巻き込んで怒涛の口立て演出は9時間ぶっ通しで行われた。
そして汗だくになったつかさんは「じゃあ明日この続きな!」と去っていった。