身体拘束の違法判決事例

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/90325/
「入院患者の拘束は違法」は当然の判決

 病院側は、「夜間せん妄が見られたために、身体拘束をした」と主張していますが、そもそもこの夜間せん妄が生じたこと自体、病院側に責任があります。
睡眠薬を不適切に投与したり、トイレに自力で行ける状態であったにもかかわらずオムツを使用するなど、診療・看護に問題があったために生じた「作られた夜間せん妄」であると私たちは主張しました。

「切迫性」「非代替性」「一時性」ですが、判決では本件の夜間せん妄について「そもそも夜間せん妄は、診療・看護上の不適切な対応が原因であるため、その夜間せん妄に対する身体拘束には、切迫性、非代替性があるとは認められない」とされています。
つまり、身体拘束が適切であるか否かは、そこに至るまでの治療やケアの内容、水準も関係するという判断です。
不適切な診療やケアをしておきながら、患者がそのために変調したから縛るということは認めないということです。

この原告もそうですが、急性期医療機関の入院患者がいつも、すべて高度な医療を受け、身体拘束が合法となるような、生命・身体が切迫した状況にあるわけではありません。
急性期だから身体拘束をしても何でも許されるだろうというのは大きな間違いです。
医療保険適用の医療機関でも、安易に身体拘束することは違法であり、患者一人ひとりに診療とケアをきちんと行わなければならない、そのことを示したのが本判決です。