276エリート街道さん2018/08/09(木) 04:23:48.67ID:vG+wcgsf

(前略)現在東京内外にある薬専10校、医専8校中の半数以上は入学者乃至卒業に際し
各種の名目で金を徴収してゐるものといはれ、従つて父兄の被害も相当広範囲にわたつてゐるらしく、
その方法は学校或は同窓会に寄付を強ひるもの、学校債応募を強要するもので、
各学校によつてまちまちであるが、最低1人当り300円から3千円まで、今年は特に1人当り5千円まで
まきあげた学校さへあるといはれてゐる。

当局への当初によると某私立大学医学部では入学志望者の身体検査の際その出口に
教授と同窓会主事が各1名づつ控へてゐて、1人々々に対し

  本校では学科試験を受けるものには一様に300円を寄付してもらふ事になつてゐるが、
  それをだす資力がありますか。

と薄気味悪い質問をする。受験者はほとんど全部これを承諾するが、
教授並に主事はその場で寄付申込書に強制的にサインをさせるといふ辛辣振りであり、
また某薬専では第1次の入学者を定員以下とし、他の数十名は多数の入学志望者から
補欠入学の名目で入学せしめ、その選定の際1人当り1500円づつを取り立てゝゐると伝へられてゐる。

また某医大では卒業学年に3千円の学校債の応募を強ひ、もし応じなければ
いつまでも卒業させないとの事実があるといはれてゐる。中には学校自体が金を徴収しないが、
同窓生中入学ブローカーともいふべき多数の取まき連中があつて、学校当局に運動してやると称し
多額の金をまきあげて生活してゐるものもあるとの事である。

文部省でもこの種の弊害を除去するため努力を続けて来たが、今度は首脳者の取締りに関する決定があつたので、
専門学務局の手で徹底的に全面的な調査を行ひ、不正事実あるものは容赦なく断固たる処分を行ふ事になつた。
(『東京朝日新聞』 昭和7年4月21日)