カナダの医師数百人が、自分たちの報酬引き上げに抗議している。そんな金があるなら看護師や患者にもっと配分してほしいと、署名活動を行っているのだ。 
カナダ東部ケベック州の公用語であるフランス語の抗議文には、こう書かれている。「われわれは公的医療制度を強く維持することの意義を信じている。従って、今回提示された昇給は受け入れられない」
2月25日以降、すでに700人以上の署名が集まった。米CNBC によると3月6日時点の内訳は、一般開業医213人、専門医184人、研修医149人、医学生162人だという。 
カナダの公的医療制度は国の財政難のあおりで予算が削られており、看護師や医療スタッフに過度の負担がかかり、患者も医療サービスの低下に苦しんでいる。そんなときに、自分たちだけ給料が増えるのは納得がいかないという。 
「今回の報酬引き上げは衝撃的としか言いようがない」と抗議文にはある。「医師の報酬だけは医療費削減の例外らしい」 
「われわれはケベック州の医師として、昇給分を返上し、その財源を看護師の待遇改善や住民への医療サービスに還元するよう求める」 
カナダ政府の公式ウェブサイトには、カナダは「国民皆保険を採用し、個人の支払い能力ではなくニーズに応じて医療サービスを提供する」とあるが、それはもはや絵に描いた餅になっているようだ。 
抗議文は次のようにも書く。「医療財源の配分を見直せば、看護師を肉体の限界まで追い込まなくても患者のニーズを満たす道が開けるはずだ」 
カナダ保健情報局が2017年9月に発表した報告書によれば、2016年にカナダ保健省が医師に支払った報酬の平均は26万924ドル(税引き前)。 
抗議の主体であるケベック州の医師団体MQRP(Médecins Québécois Pour le Régime)は2月17日にも、専門医を対象にした総額5億ドルの報酬引き上げを「破廉恥」と呼んで抗議した。 
医師による抗議は、看護師たちが労働条件の改善を要求して行った座り込みをきっかけに始まった。MQRPは2月1日、看護師との連帯を文書で表明した。 
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9691_1.php

カナダには行きたくありません。