告発(1)
東京のMリハビリテーション病院のH医師は、私の父の主治医だった。父は脳梗塞を患い、リハビリのためこの病院に入院していた。
H医師は、脳梗塞の再発を恐れ、父にきめ細かな医療を提供しているものと私は信じていた。
ところが父は、ここを退院して3カ月後に、脳梗塞が再発して誤嚥性肺炎を起こし、亡くなってしまった。
父は入院中、事故といえども誤嚥をしたことがなく、だからこその油断もあっただろう。しかし、父は当時77歳。加齢で只でさえ誤嚥の危険は高いのに、
ましてや脳梗塞を患うとその危険は倍加する。
そこで父の入院中、母と私が頻繁に見舞いに行っていたのだから、当然H医師は我々に、現在は誤嚥がなくとも、近い将来起こり得るものとして、その対策や、
アフターケアなど、充分に説明、指導されるべきだったのにそれを怠った。
それ故に父は死期を早めてしまった。
脳の重度の疾患であるにもかかわらず、常に最悪の事態も想定して治療に当たるべきだったのにそうしなかったのは、
重大な不注意であり、危機意識が乏しかったと言わざるを得ない。