「ああ…もうだめだ…小林さん…逝く…」
もうすぐって時にバンッと扉が開いた。
職長が仁王立ちしていた。
「トイレで倒れたと思ったら、すげえ熱じゃねえか。しかも体が震えてやがる。インフルエンザだな……」
「サーセン。俺仕事が……」
「無理すんな。貴様は今日早引けだ!」
これが俺がこの会社に入って良かったと思えるはじめだった。
その夜、静まった夜の俺の家で、腕っ節の太い職人たちの温かい心で俺の看病が行われた。
さんざん汗だくの体を拭かれ、消化の良いお粥を作ってくれた。
それは毎夜行われ一週間すぎた頃には俺の体調はすっかりよくなったのだ。