>>337続き)

「本業での収益を放棄する」という「極端な環境」を与えてみたら、
本当に「極端な才能」が発生するかどうかを、試しに実験してみた。
遊び半分で、都内に『キャンディ』というスナックを作ったんだけど、
まず最初に決めたルールは「飲食すべて無料」
つまり、本業での収益を放棄してみたんだ。

さて、どうしよう?
従業員さんのお給料も払わなくちゃいけないし、家賃や光熱費、
なによりも飲食無料なので仕入れ代もバカにならない。
そこで月額500円のファンクラブを作ることにした。

ファンククラブ特典は、3つ。
@全国どこにいてもスナック『キャンディ』に来ているお客さんと、
 動画配信で繋がることができる「オンライン呑み会」に参加できる。
Aスナック『キャンディ』を運営する「株式会社スナック」の経営に口を出せる。
Bスナック『キャンディ』の場所を教えてもらえる。
Bのせいで、住所非公開のお店になっちゃったけど、それもまぁ良しとしよう。

そんなこんなでスナック『キャンディ』のファンクラブを募集したところ、
800人が集まった。「やったぜ。ファンクラブの売り上げで、店が回せる」
と喜んだんだけど、800人×500円で、月に40万円。
そこからファンクラブのサイトの手数料が引かれて、35万円。
お店の家賃が25万円で、そこから従業員さんのお給料や、光熱費、
さらにはバカみたいな仕入れ代がかかってくる。
お金がまるで足りないことに気がついたんだ。
死ぬかと思ったよ。

この時点でスナック『キャンディ』が抱えている問題は二つ。
一つ目は「お金が圧倒的に足りない問題」、そして二つ目が更に深刻な「ゲロ問題」
飲食無料なので、ガバガバ呑まれてしまう為、ゲロ率が極端に上がってしまうんだ。
狭い店内でゲロなんて吐かれたら大変な空気になるし、グロッキー状態にある犯人は
確実に許されない。スナック『キャンディ』は立ち上げ間もなく、「お金不足」と
「ゲロ満足」という深刻な二つの問題により瀕死状態にあった。

800人のファンクラブの皆と足掻きに足掻いた結果、なんと、この「お金不足」と
「ゲロ満足」という地獄問題を一気に解決するスーパーアイデアが飛び出てきた。
『一ゲロ=罰金10万円』である。
これにより、ゲロが支援になり、ゲロを吐いた人間には「ごちそうさまです!」
という声がかけられ、皆からヒーローとして称えられる。
スナック『キャンディ』は地球初の「ゲロの売り上げで回っている飲食店」となった。
まず最初に「飲食無料」という『極端な環境』を与えて、それでも生き延びようと
したから、「ゲロの売り上げで回る飲食店」という『極端な才能』を生んだんだ。