>>94
西野さんはなんも耐えてない。
お察しの通り、グッと飲み込んで受け入れる事は絶対できない性格。
一度指名した人でも、「こいつ“その他大勢”に埋もれる気がないな。
ちゃんと表紙に名前載せろと言いそうだな」という危険を感じたらクビ。
彩色まで仕上げてもらった絵を見て構図にダメ出ししてボツ。
あの絵本制作でひたすら耐えたのはイラストレーター陣のみ。

●2015/02/01
MUGENUPさんが契約している2万5千人のイラストレーターさんの中から、
「背景イラストはこの人!」という人(Aさん)が見つかったんだけど、
Aさんからは「作業を分業化せず、キャラクターも描きたい」という希望が出た。
つまりは『文・西野亮廣、絵・Aさん』という形。
たしかにそれはそれで魅力的なんだけど、血も涙もない言い方をすると、
僕はAさんの才能の後押しはしたいけど、Aさんの作品を作りたいわけでは
決してないので、今回は見送らせていただいた。

僕の頭の中には、こんなキャラクターで、こんな世界で、こんな色という
イメージの輪郭までハッキリとあって、それが0.1ミリでもズレたら意味がない。
楽をしたいから分業化するわけではなく、頭の中にあるイメージを、
より高いレベルで再現したいから分業化。
背景はAさんにお任せした方がイメージに近づけるし、
キャラクターはAさんよりも僕が描いた方がイメージに近づける。目的はそこ。
足りない部分を補っていただくだけで、作るのはあくまで僕の作品。
だから僕より前に出ちゃダメ。

こういうことを書くと、「他人を信用することで前に進めることもあるよ」
と諭してくる正論バカが必ず現れるんだけど、
お前がそう思うのならお前が作品を作る時はそうすればいいわけで、
今回の場合、僕が求めているのは作家さんではなく、職人さん。
「全体のバランスが崩れるから、これ以上踏み込んで来ちゃダメ」
というラインが確実にある。僕はひどくワガママなのだ。
そんなこんなで、引き続きイラストレーターさんを探す。意外と長い試合になりそう。

●2015/08/22
https://www.instagram.com/p/6q-kjyShOG/
ここまで描いておいてもらって本当に申し訳ないけど、残念だけど、この絵はボツ。
職人さんは、いい気はしないだろうなぁ。また嫌われたかも。
でも、今回は「分業制で、世界中が驚く絵本を作る!」と立ち上がった企画で、
その理念に賛同してもらって制作費を頂戴しているので、最低ラインとして、
僕一人で作ったものよりクオリティーが上でないといけない。
「これだったら、西野が一人で描いた方がいいんじゃね?」は、あってはならない。
なので、ボツ。どこかで、見たことがある絵だから。
構図や描き込みが、そもそもラフスケッチを上回っていない。
これを世に出すわけにはいかない。